ホンチョ・サウンド2012年一発目のリリースはご存知、一見ナイーブに見えてどっこい男前なエレクトロニック・ダブ・ユニット“あらかじめ決められた恋人たちへ”の中心人物、池永正二による初のDJ MIX音源です。
ダブを基調にしながらも、エレクトロニカやシューゲズ、ハードコア、エモ、プログレにアヴァン・ギャルド…etc.な匂いを感じさせるような、これまでに無かった新たなダブ・サウンドを確立し、今では数多くの大型フェスのラインナップにも名を連ねる“あらかじめ決められた恋人たちへ”、そして極上のフラジリティを持ったヴォーカリスト/ミュージシャン“ゆーきゃん”との歌ものユニット“シグナレス”等での活動でも分かる通り、池永正二というミュージシャンの引き出しは広くて深い。
池永自身、あら恋のライブに関して「飛ばし専門のDUB PAと、トータルで根幹を握るマスターPAという2人体勢の音響組みと照明を含めたユニット(組織)として、爆音なのに美しいのにメンバーはもっさいの に、ノイジーなのにノスタルジックなのに、力強いのに弱そーなのに、結果的になんかよく分からないけどドッカーンてしてる」と言う通り、その表現の中には多くのカオスとパラドクスを抱えている。しかしながら彼はそれらの矛盾を丁寧にレイヤリングし、人間の持つ不安定な感情を見事に表現している希有なミュージシャンと言ってもいいでしょう。
本作『Dubbing』はそんな池永正二による、自身の引き出しを生かした独自の“DUB”感覚溢れる快心のMIX。彼の本懐とも言えるUK DUBを基調にしながらも、オーセンティック・スカ、どこかコケティッシュな音像世界、轟音ハードコア、ダブステップ等々…と、やはり「…結果的になんかよく分からないけどドッカーンてして」いて、あら恋での音楽表現と同様に、多少複雑ながらも心地よい流れを創り出している。さながら彼の脳内ネットワークを旅しているような、または池永正二による私小説を読んでいるような、一人のミュージシャンの持つ面白さが遺憾なく発揮されたMIXとなっています。
また、あら恋としては、昨年POPGROUPより最新アルバム『CALLING』をリリースし、本年4月には2曲で30分にも及ぶEP『今日』のリリース、そして本タイトル『Dubbing』と同名のワンマン・ライヴ・ツアーを控え、この春の話題になる事は間違いないでしょう。
—–池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ・シグナレス etc…)